コラム
2020.09.22

認知症の一人暮らしが困難になる目安

認知症の一人暮らしが困難になる目安

認知症の一人暮らしについて

「認知症だと一人暮らしは危ない」こんなことがよく言われています。ですが、認知症でも初期の段階なら一人暮らしは可能です。この記事では、認知症の一人暮らしに関するお悩みを、介護の専門家の視点から解決します。

こんな不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。
・「最近、親の物忘れが激しく、暮らしがおぼつかなくなっている」と心配
・「別居している母が認知症と診断されたが、今後一人で暮らせるのか?」と不安を抱えている

この記事では、具体的に以下のポイントを解説します。
・一人暮らしが困難になる目安
・成年後見制度とは
・一人での生活が難しくなったら
認知症の一人暮らしのことが心配な方は、ご一読ください。

一人暮らしが困難になる目安

認知症_一人暮らし

認知症になっても初期の段階なら、一人暮らしを続けることができます。住み慣れた家の中では、物忘れが多少あっても身の回りのことをこなせることは多いです。
介護サービスを使いながら、あらかじめ一人暮らしが困難になる目安を知り、目安が来たら、施設入所など次のステップに進む心がまえをすることが大切です。

その目安は以下のとおりです。

1.身体機能の低下
2.失火の心配
3.徘徊が増える
4.近隣とのトラブル

1.身体機能の低下

起き上がれず、ベッドでの生活が中心になり、身の回りのことができなくなってきたら、次のステップを考えていきます。
認知機能の低下というのは、単に物忘れだけではありません。体を動かすための認知機能も低下し、生活動作一つひとつの順番をなかなか思い起こせなくなっていきます。やろうとは思っているけど、体が動かないということが起こってきます。

2.失火の心配

家を訪ねると、ガスコンロに焦げた鍋が置いてある。本人は寝ているのに部屋の電気がつけっぱなし。こういうことが増えていくと、だんだんと失火の心配が出てきます。
火事になる心配もあるので、ガスコンロを電磁調理器に変える、宅配のお弁当を手配する等、火を使わない環境づくりが必要になります。失火のリスクを抑えながら、次のステップについて考えていきます。

3.徘徊が増える

上記の失火と、外に出たまま帰れなくなり、警察や消防からの連絡で親の認知症を知る方も多いです。外に出たまま家に帰れないことが頻繁に起こってくると、一人で歩く時間が長くなり、交通事故や転倒のリスクが高くなります。
また、家の外に出ないように工夫する、保護された先に迎えに行く等、家族の負担が大きくなっていきますので、次のステップについて考えていきましょう。

4.近隣とのトラブル

ボヤを出しかけた、ゴミ出しの曜日や分別が違う等でご近所トラブルになることがあります。トラブルの理由が認知症だと、近所の人には分からないものです。「最近様子がおかしい」と違和感を感じるだけで、その様子が家族の耳に入るのはトラブルが本格化してからということも。
トラブルを家族が把握したら、近所と本人に事実確認をするとともに、次のステップに移るか考えていきます。

成年後見制度を利用する

認知症で財産管理や契約などが難しくなってきたら、成年後見制度の利用をお勧めします。
判断能力が低下すると、通帳や印鑑を間違えて銀行でお金が引き出せない、所有不動産の売買が必要だが本人が理解できない、等の問題が起こることがあります。また、施設に入った方がよい状況だけど、親族が遠方等の事情で施設を探せない、本人の代わりに契約する人がいないということも考えられます。
そんな時に役に立つのが成年後見制度です。成年後見制度を利用することで、成年後見人等が本人の代わりに各種の契約を結んだり、判断能力が落ちても地域で暮らすための法的支援をすることができるようになります。
ここでは判断能力が低下した人を対象とした「法定成年後見制度」と判断能力がしっかりしているうちに契約する「任意後見制度」について説明します。

成年後見制度とは

この制度は、2000年に認知症高齢者など判断能力が低下している人を詐欺被害や不当な契約などから守り、安心して地域で暮らしていくために制度化されました。成年後見人等が本人に代わって財産管理や生活に必要な契約を結び、不利益な契約を本人がした時には、取消権を行使して、本人の生活を守ります。

成年後見制度の種類

・法定後見制度:判断能力が低下した人が対象です。判断能力の段階により、3つの類型があり、権限が異なります。
・任意後見制度:判断能力が十分あるうちに、判断能力低下後に行って欲しい手続き行為について予め本人と任意後見人とで契約します。判断能力低下後に所定の手続きを経て、契約に定めた手続きを行ってもらいます。

法定後見制度の種類

判断能力が低下した人を対象に、家庭裁判所への申立てによって、成年後見人等の代理人をつける制度です。申立てができる人は、本人や配偶者、四親等内の親族や市区町村長等がいます。契約の取消権が与えられているのが、大きな特徴です。
以下のとおり3種の類型は、判断能力低下の段階によって権限の強さが異なり、申立て時に判断能力に関する診断書を添付することで、家庭裁判所が決定します。

法定後見制度の類型と特徴

・類型:対象              :代理権・同意権・取消権の内容
・後見:判断能力が欠けているのが通常の方:後見人に代理権 ※1と取消権(日常生活に関する行為以外の行為 ※2)が付与
・保佐:判断能力が著しく不充分な方   :保佐人に民法13条1項に定められた行為(借金、訴訟、相続や新増改築等)の同意権 ※3と取消権が付与
・補助:判断能力が不十分な方      :補助人に一部の同意見と取消権が付与

※1 代理権・財産管理や契約等を成年後見人がすべて代理で行う。
※2 日常生活に関する行為以外の行為:日用品の購入など日常生活に関する行為以外に取消権が行使できる。
※3 同意権・保佐人・補助人が本人の取り交わした契約等に同意することで契約の法的効果が認められる。

任意後見人制度の流れ

自分の思い描く老後を実現しやすくするために、判断能力があるうちに自主的に契約を結んで始まる制度です。自分の生活や財産管理、生活に必要な契約や手続き事務について、あらかじめ自分で選んだ代理人(任意後見人)に引き受けてもらう「任意後見契約」を公正証書で結びます。
本人の判断能力が低下したあとに、本人と契約を結んだ人が家庭裁判所に「任意後見監督人の申立て」を行うと、任意後見人を監督する人がつき、契約に基づいた支援をきちんと行っているか担保する仕組みです。
本人が望んだ手続きを行うので、法定後見制度とは違い取消権はありません。任意後見の契約事項では本人の権利を守りきれない場合、法定後見人の申立て手続きを必要とすることもあります。

一人での生活が難しくなったら

認知症_段階 

認知症が進行していくと、一人での暮らしはだんだん難しくなり、在宅介護を行うか、施設への入居かを考える必要が出てきます。また、契約や同意ができなくなると、成年後見制度利用を視野に入れる必要も出てきます。どれが最善の選択肢なのか誰しも悩むところです。
数ある施設の中も、認知症の受け入れに特化しているのが「グループホーム」です。認知症の診断があり要支援2から介護5の方が入居でき、環境や人の変化が大きなストレスになる認知症の方が安心して過ごすために、5人から9人のグループ単位で生活をします。リビングやキッチンのある家庭的な雰囲気で、担当職員もそのグループを主に担当するため、毎日見知った人たちと穏やかに過ごせます。家で使っていた家具を持込可能で、なじみの物に囲まれた生活を送れるのも特徴です。

ご不明点等ございましたら、下記お問い合わせまでお願い致します。

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