コラム
2020.09.09

認知症の段階 早期発見のための症状一覧

認知症の段階 早期発見のための症状一覧

 

症状初期

認知症_段階

認知症の初期では、自分でお金の管理ができなくなる、バスや電車などの乗り方が分からなくなる、内服薬管理に支障が出てくるなど、様々な症状が現れます。
そのため、日頃から本人の様子を注意深く観察することが必要です。

 

認知症初期症状チェック

「現れる症状」と「症状による影響」に分けて紹介します。

時間の感覚が不確かになる(時間の失見当)

・約束の時間を守れない

・通院の日時が分からなくなる

・食事の時間が分からず、食べ忘れる

暑さ寒さの感覚が鈍くなる

・季節に応じた服装ができず、風邪をひく

少し前のことを忘れる(近時記憶障害)

・料理していることを忘れて鍋を焦がすなど日常生活のなかで失敗が増え、自信を無くす

・自ら何かすることをあきらめる

片付けができなくなる

・どこに何を入れたのか分からず、結果的に荷物を部屋に広げて散らかしてしまう

うつ的になる

・表情が乏しくなる

・家に閉じこもりがちになる

・家で寝ていることが増える

・自ら人に話しかけなくなる

軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment;MCI)

健康な人の物忘れも、短期間に増える・心理テストで年齢相応の記憶低下を超える所見がある場合には、認知症に発展する可能性が高いとされています。
これがいわゆる軽度認知障害(MCI)といわれる状態です。
MCIは、正常と認知症の境界にある状態で、日常生活にはほとんど支障がありません。全般的な認知機能は正常なのが特徴です。
しかし、MCIには各種の認知症疾患の前駆状態が含まれており、MCIと診断された半数以上が、その後アルツハイマー型認知症などに進行するとのデータが出ています。
一方、この状態にとどまる人や、正常に戻る人もいます。現在、MCIを認知症のハイリスク群と考え、予防的な介入が注目されています。
なお、MCIの診断基準は以下の通りです。

  1. 1.記憶低下の愁訴がある

    2.日常生活に支障はない

    3.全般的な認知機能は正常

    4.年齢に比して記憶力の低下がある(標準化された記憶検査で確保される)

    5.認知症は認めない

    6.日常生活の状態から認知機能を評価する臨床認知症評価尺度(Clinical Dementia Rating;CDR)のスコアが0.5

  2.  

主な認知症の症状

認知症の症状には、以下のように大きく分けて3つあります。

1.中核症状

2.周辺症状(行動・心理症状;BPSD)

3.生活障害

これらの症状は段階的に現れるのではなく、認知症の症状として複合的に、姿を変えて現れます。

 

1.中核症状

認知症になると多少の個人差はあるものの誰にでも認められる症状です。
物忘れが病的に悪化する・時間や場所が分からなくなる・計算や判断ができなくなる、などが代表的な症状として出現します。中核症状とその内容に分けて紹介します。

記憶障害

・ものを覚えこむ力(記銘力)記憶を保つ力(保持力)思い出す力(想起力)が弱くなり、最近の記憶から忘れていく

見当識障害

・時間と場所を把握する力が低下することで、昼夜が逆転する・迷子になるなどの状態が起こる

遂行機能障害

・計画を立てる・比較する・抽象的に思考することが難しくなり、手順を踏んで一連の作業をすることができなくなる

失語

・言葉を話すことに関わる器官(唇や舌など)は正常だが、脳の中の言葉を話すことに関わる部分が機能せず、話せない状態

失行

・手足の機能は保たれているが、脳の運動野に障害があり、服を着るなどの行為ができない状態

失認

・目や視神経などには異常がないが、目の前で見ていることを脳が認識できない状態

病識低下

・病識が全くないわけではなく自覚もあるが、病識が不完全で低下している状態

2.周辺症状(行動・心理症状;BPSD)

周辺症状(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia;BPSD)は症状を伴う人もいれば症状が出ない人もいます。
認知症の程度により、全く違った病像を示すのが特徴です。
認知症初期には、漠然とした不安や気分の沈み、中等度になると、最も親しい家族に対する「物を盗られた」などの被害感から、自分を守ろうとし、興奮や攻撃性が現れることも珍しくありません。周辺症状とその内容に分けて紹介します。

暴言・暴力・易怒性

・相手が誰だか分からない・何をされているのか理解できないがために恐怖を感じ、暴言を吐く・手が出るなど怒りっぽくなる

徘徊・無断外出

・自宅から外出して帰り道が分からなくなり、町内を歩き回る・自分の家であることが認識できず家に帰ろうと無断で外に出ていく

不安・不穏・焦燥

・漠然とした不安がつきまとい、自分の内面に襲い掛かることで、ドキドキ(動悸)が恐怖となり、外出できなくなる・落ち着かない

拒否

・介護されていることが理解できず、触られることを嫌がる・時には手が出る

うつ

・常に気持ちが暗く沈みがちであり、自傷行為に走ることがある

アパシー

・何事にも関心を示さず、無気力であるが、自傷行為に走る可能性は少ない

妄想

・周囲から見ると明らかにあり得ないようなことでも、自分が直感的に感じること

例:食事に毒が入っているなど

幻想

・現実にないことを見たり聞いたりすることであり、一瞬の錯覚ではなく、一定の時間の経過のなかで継続する

異食

・食べられないものを口に入れる・食べてしまうことであり、本気で食べたいとは思っていないが、目につくものを口に運んでしまう

異所排尿

・トイレの場所が分からない、トイレの仕方が分からないことなどにより、トイレ以外の場所で排尿してしまうこと

例:窓に向かって排尿するなど

3.生活障害

生活障害とは、認知症による認知機能の低下によって、日常生活における生活行為が困難になった状態のことです。

ADL障害

ADL(Activities of Daily Living)とは日常生活動作のことであり、食事・更衣・移動・排泄・整容・入浴など生活を営む上での基本的な行動を指します。
認知症初期にはあまりADLの障害は見られませんが、中等度、高度の認知症になっていくにつれ、徐々に障害が現れます。
中等度の認知症では判断力が低下し、適切な洋服を選んで着ることができない・食事をうまく食べられずにこぼす・入浴を忘れる(介助を要する)などの症状が現れます。
やや高度~高度の認知症になると、洋服のボタンをうまくとめられない・排泄を失敗する(失禁)・座っていることができなくなる・歩くことができなくなる・寝たきりになる・嚥下障害が出る(誤嚥など)・食事を口から摂取できなくなるなどの症状が現れます。

IADL障害

IADL(Instrumental Activities of Daily Living)とはADLよりも高次の日常生活動作であり、食事の準備・買い物・掃除・洗濯などの家事、金銭管理・交通機関を利用した外出・服薬管理などのことを指します。
ADLの障害が認知症の中期頃から現れるのに対し、IADLの障害は認知症の初期から現れます。
洗濯機の使い方が分からず手でしぼって干す・洗濯物の取り込みを忘れる・薬を飲み忘れる・お金の計算や管理ができなくなるなどの症状が現れ、周りの手助けを必要とします。
また、失敗が増えることで自信を無くし、活動性の低下や生きがいの喪失などに繋がることもあります。
IADLが低下することで、身体的・精神的にも機能が低下し、ADLの低下も招くことになるため、周りが早い段階で異変に気付き、対応していくことが必要です。

 

認知症が進行したら

認知症_段階

認知症が進行すれば1人で生活することは難しく、介護の必要性が出てきます。
その際、在宅で何らかのサポートを受けながら介護を行うか、施設等への入所を検討するかは誰しもが悩む部分です。

在宅介護

在宅で介護を行う場合は、家族が疲弊しないためにも、訪問介護(ホームヘルプサービス)や通所介護(デイサービス)などの在宅サービスを利用することが大切です。
訪問介護は、本人が慣れ親しんだ環境のなかで、同じ日程で支援を繰り返せるという特徴があります。食事・洗濯・掃除などの家事を、本人のやり方や好みを反映し、実施します。
通所介護は、大勢の人との交流や外出により、適度な緊張感を持ち、社交性を取り戻すことなどが期待できます。

施設への入所を考える

認知症と診断された要支援2から要介護5の高齢者が、1ユニット5~9名ほどの生活単位で共同生活を送る場を、グループホーム(認知症対応型共同生活介護)といいます。
少人数での生活であり、共有スペースのリビングを囲むように1人1人の居室が配置されています。
同じユニットの利用者・介護スタッフともに固定されたメンバーであり、「なじみの関係」のなかでお互いに助け合いながら、家族のように生活することができます。
また、居室には今まで慣れ親しんだ家具等を持ち込むことができ、環境の変化に不安を感じる認知症高齢者が、自宅にいるかのような空間で生活できるよう配慮されています。
ユニットケアは、構造上の小規模化をさすものではなく、認知症高齢者の個別生活支援に主眼を置いています。ケアというより、ともに暮らす人・場として存在しているため、安心して生活を継続することができます。

 

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