コラム
2020.09.24

認知症の診断基準とは 認知症・物忘れ・せん妄との違い

認知症の診断基準とは 認知症・物忘れ・せん妄との違い

認知症の診断基準

認知症と診断確定するには、認知機能低下の確認や、認知症と同じような症状を示す他の疾患を除外する必要があります。
主な認知症の診断基準は、次の5つになります。

1.認知機能低下の有無

2.毎日の生活に支障がある

3.健忘などの症状が継続する

4.意識障害の除外

5.精神疾患の除外

一つずつ詳しくご紹介します。

1.認知機能低下の有無

認知症_診断基準

認知機能低下の主な症状は次のようなものがあります。

・記憶障害
朝食を摂取したことを忘れる、数分前のことを思い出せないなど、体験したこと自体を忘れてしまいます。また本人に忘れたという認識もないことが特徴です。

・見当識障害
物事を正しく認識できない症状のことを言います。
例えば、現在の月日や時間、季節が分からなくなったり、普段利用している道に迷い、自宅に帰れなくなってしまったりする場合もあります。

・実行機能障害
買い物に行って同じものを何個も購入してしまう、料理の手順がわからなくなってしまうなど、計画を立てて行動することができなくなる症状のことを言います。想定外のことに対しての対応ができなくなります。
その他、物の名前が分からなくなる「失語」や、洋服の着方や身体の洗い方などが分からなくなる「失行」などがあります。

2.毎日の生活に支障がある

認知症_診断基準

日常生活の状態も認知症の診断基準になります。
認知症の初期では、物を置き忘れる、用事を忘れる、日付が分からなくなるなど日常的な物忘れが多くみられます。
そのため、仕事などの社会活動が続けられなくなったり、家庭でも買い物に行っても何しに来たのか忘れてしまったり、外出先で自分の居場所が分からなくなってしまう場合もあります。
また、財布や通帳をしまい忘れて、なくなったと思い込み「泥棒が入った」「家族に盗られた」と大騒ぎになる場合もあります。

3.健忘などの症状が継続する

認知症にはいくつかの種類があります。

1.脳細胞の減少によって引き起こされるアルツハイマー型認知症

2.脳梗塞などの脳血管障害に引き続き発症する脳血管性認知症

3.アルツハイマー型認知症の症状に加え、幻視やパーキンソン症状が合併しているレビー小体型認知症

4.初老期に発症することが多いピック病やクロイツフェルト・ヤコブ病
などが代表的なものです。

いずれも認知機能低下は継続し、症状は徐々に進行していきます。
発症すると回復は見込めないと言われています。

4.意識障害の除外

認知症と似ている症状に「せん妄」があります。せん妄は認知症と似ている症状があるため、間違えて診断してしまうケースも少なくありません。
認知症とせん妄の大きな違いは意識障害の有無です。
せん妄には意識障害が伴いますが、認知症の場合は、意識がしっかりしている時も幻視や幻聴などの症状が出現します。
そのため、意識障害がある時は、認知症の診断をしないことになっています。

5.精神疾患の除外

認知症の症状には、焦燥や抑うつ、妄想などの精神症状を伴う場合が多くあります。
一見すると認知症なのか、精神疾患による症状なのか、判断が難しいこともあります。
そのため、認知症の診断をする際は、うつ病や統合失調症などの精神疾患と識別する必要があるのです。

物忘れとの違い

年齢を重ねると多かれ少なかれ「物忘れ」が増えます。
普段の生活でも、朝何を食べたか思い出せなかったり、固有名詞が出てこなかったりといった物忘れに不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
老化による物忘れと認知症による物忘れには大きな違いがあります。
例えば、認知症の物忘れは、朝食に何を食べたか思い出せないだけではなく、食べたこと自体を忘れてしまうなど、行動そのものが思い出せない状態なのです。
認知症なのか、老化による物忘れなのかを判断をする際には、物忘れ以外の情報も大切です。

・認知機能が低下しているか

・生活に支障があるか

・その状態が継続しているか

など、すべてに該当している場合は、認知症の疑いが強くなりますので、信頼できる専門医に相談することをおすすめします。

せん妄との違い

前述しましたが、認知症とせん妄の大きな違いは意識障害の有無です。
認知症とせん妄に共通している症状として、幻覚や興奮状態、意識がぼんやりした無気力状態などが挙げられますが、認知症では意識が鮮明であることが判断基準となっています。
一方で、せん妄は意識レベルが低下した状態であり、一過性の意識障害に含まれています。
ここで、せん妄の特徴を認知症と比較しながらご説明します。

覚醒水準の低下

せん妄には覚醒レベルの低下が伴います。
幻覚や妄想などの症状や、ボーっとしていたり、目つきが変わっていたりと覚醒レベルが低下することが特徴です。
症状が持続する認知症に対して、せん妄は比較的急激に出現し、数時間から数日で消失する場合が多いようです。

認知機能低下の軽い症状

せん妄状態の時は、意識レベルの低下に伴い、次のような認知症に似た症状が現れることがあります。

・日にちや時間、自分のいる場所が分からなくなる。

・つじつまの合わない話しをする

・物忘れが悪化する

・過去と現在が混同する

・自宅にいるのに「帰りたい」と言い出す

このような症状が、認知症とは違って短期間で現れたり消失したりします。

睡眠

せん妄状態の人は睡眠のサイクルが崩れやすく、「昼夜逆転」になることがよくあります。
また、「夜間せん妄」と言って、昼間は比較的しっかりしている場合でも、夕方以降になると症状が強く現れ、幻覚を見たり興奮状態に陥ったりすることもあります。
このように、せん妄には日内変動が多く見られますが、認知症の症状には、日内で大きな変動はあまり見かけません。

誘因

環境の変化や精神的ストレスを受けた時や、脱水、便秘、発熱、疼痛など身体的苦痛を受けた時など、せん妄は比較的容易に発症します。
高齢の方が入院や手術を受けた後などに幻覚が見えたり、興奮したりするケースはよく耳にします。
治療のために行った身体拘束で、せん妄症状が悪化したという話を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
入院患者のおおよそ10~30%の方がせん妄を発症すると言われており、せん妄の発症は、決して珍しいものではないようです。以上、認知症の診断基準とせん妄との違いについて解説しました。

ご不明点等ございましたら、下記お問い合わせまでお願い致します。

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