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グループホームの費用とは?初期費用や月額費用をわかりやすく解説
グループホームは入居やと職員が食事の準備や買い物など、自宅と変わらない環境で自立支援を行う自由度が高い施設です。これからグループホームへの入居を検討している方は、準備金や入居条件などが気になると思います。本記事ではグループホームのメリットや、入居中に必要な月額費用だけではなく、コストを抑える方法など、ほかの高齢者施設との差を解説します。
目次
グループホームの特徴とは
グループホームは介護保険制度では認知症対応型共同生活介護という名称の介護サービスで、特別養護老人ホームや介護付き有料老人ホームとは異なった介護施設です。その違いは共同生活です。要支援2~要介護5の認知症の高齢者が対象で、少人数(1ユニット5~9人)の入居者で生活しています。認知症はあっても身体機能は衰えていない入居者を、職員がサポートします。家庭に近い雰囲気の中で、家事や清掃など各々の役割分担(役目と目的意識)があるため、効果的な自立支援に繋がります。居室は全室個室ですが、介護付き有料老人ホームのような広さは無く、設備もシンプルなものが多いです。キッチン、浴室、リビングが共同となり、施設全体は比較的コンパクトにまとまっています。介護保険による利用料がやや高めということもありますが、月々の費用は特養以上、有料老人ホーム以下の価格帯が多いと言えます。
入居時にかかる初期費用は2つある
グループホームの入居には「保証金」と「入居金」を支払いが必要です。施設によって費用に大きな差があり、無料から数十万円の施設があります。
保証金
一般的な賃貸住宅のような敷金と同じような意味を持ちます。具体的には以下の項目が当てはまります。
・居室の原状回復費
・家賃滞納分の充填
・入居中の修繕
多くの場合、退去時に保証金は返金されますが、原状回復費用は施設によって違うので、入居前にあらかじめ確認が必要です。
入居金
入居金は主に退去時に使用される保証金と違い、入居期間中に施設が消費する費用です。入居金は施設により以下の名称で呼ばれるケースがあります。
・入居一時金
・入居申込金
・入居保証金
入居金には初期償却と償却期間が定められていますが、施設によりその割合と期間は異なります。
月額費用の内訳
月額費用は主に以下の3つです。
・施設で暮らす生活費に当たる「日常生活費」
・入浴・排泄介助など介護保険適応「介護サービス費」
・充実した介護サービスの体制に対する「サービス加算」
介護度や施設の体制によって金額が変動するので、入居前に他の施設を比較する重要なポイントになります。
日常生活費
日常生活費は、グループホームで暮らす費用全般が該当します。具体的には以下が挙げられます。
・賃料
・管理費、共益費
・水道光熱費
・食費
・雑費 など
賃料は一般的な賃貸住宅同様、施設の所在地が都市部か郊外かで差があります。また、設備、広さによって施設内で違いがあります。管理費や共益費に水道光熱費が含まれている施設もありますが、別途請求となる施設もあるので請求方法を確認しておくことをお勧めします。雑費は入居者のおやつ、日用品などが該当しますが、自宅から持ち込むと月額費用の節約につながります。
介護サービス費
介護サービス費は、施設内で食事、移動、排泄などの介護サービスを受けるための費用であり、介護保険適応サービスです(負担額は所得に応じた1~3割)。介護度が高くなると、手厚い介護サービスが必要になるため自己負担額が増加します。また、施設の規模(ユニット数)によって負担額が変わり、1ユニットより、2ユニットのほうが若干月額の負担料金は減ります。
グループホーム1日あたりの基本利用単位
要支援2 | 要介護1 | 要介護2 | 要介護3 | 要介護4 | 要介護5 | |
1ユニット | 761 | 765 | 801 | 824 | 841 | 859 |
2ユニット以上 | 749 | 753 | 788 | 812 | 828 | 845 |
※グループホームでは1単位は10円~10.90円(地域により異なります)で換算し、算出された額の1~3割が自己負担額となります。
※上記単位に、次項の加算を加えて介護サービス利用料は算出します。
サービス加算
サービス加算は、専門的な介護サービスや、適切なケアを行う施設の体制への追加費用です。具体的には以下の項目があります。
・初期加算
・看取り介護加算
・夜間支援体制加算
・医療連携体制加算
・認知症専門ケア加算 など
施設によって加算項目が異なるため注意が必要です。
グループホーム以外でかかる費用
グループホーム入居中は医療機関受診に費用が必要です。また、居室に備え付けの品もありますが、個人になじむ車イスや装具、歩行車など、快適な生活のために入居される高齢者本人と相談が必要かもしれません。
医療費
入居者のかかりつけ医やグループホームの提携医療機関など、受診する際の医療費が必要です。持病の通院だけではなく、皮膚科や眼科、歯科医で義歯の作成・調整なども想定されるため、医療費に留意してください。また、通院を施設側で付き添う場合、通院介助費やタクシーの交通費などが発生することもあります。アクタガワのグループホーム「ハートフルホーム」では定期的な診察は提携医療機関による訪問診療があるので、通常の診察であれば受診の付き添いの必要がありません。
福祉用具の購入、レンタル費用
グループホーム入居中は、他の介護サービスが利用できないため、自宅でレンタルしていた介護用品の引き続いた利用はできません。そのため、必要な福祉用具は自費で購入するか、自宅から持ち込む必要があります。特に、大型の介護用品は入居前に相談が必要です。施設によっては保険外レンタルを紹介してくれるところもあるので、必要な場合は相談してみることをお勧めします。
入居一時金は返金される?
入居金は、一定期間内に退去した場合返金が受けられます。例えば、償却期間が5年で設定されている施設を3年で退去した場合、未使用だった2年分の入居金の残金が返金されます。また、入居時に初期償却を割合で設定している施設もあるので、トラブル防止のため入居前に施設に確認することをお勧めします。
毎月かかる本当の費用(目安)
ここで静岡市駿河区にあるアクタガワのグループホーム・ハートフルホーム八幡に入居されている方への実際の請求内容を紹介します。ハートフルホーム八幡は1ユニットのグループホームで定員は9名です。要介護1で1割負担の方で、この月は31日の利用がありました。
家賃 | 65,000円 |
管理費(水道光熱費込) | 33,500円 |
食事サービス | 44,000円 |
介護サービス費(加算込み) | 29,289円(静岡市 1単位10.27円で計算) |
訪問理美容費 | 2,200円 |
紙パンツ代 | 2,530円 |
寝具レンタル代 | 2,200円 |
レク用品代 | 388円 |
合計額 | 179,107円 |
一般的にパンフレットやホームページに掲載されているのは家賃、管理費、食事サービス費といった入居者全員に共通している費用です。しかし、実際の利用に際しては、例に挙げたように介護サービス費他の個人差のある費用が発生します。入居を検討する際は、現在の入居者への平均的な請求額を聞くなどして、支払いのシミュレーションをしておくことをお勧めします。
費用負担を抑える方法
高齢者施設に入居中は費用が高額になりがちですが、コストを抑える制度があります。ここでは代表的な3つの制度を紹介しますので、該当するか確認してください。
高額介護サービス費制度について
高額介護サービス費制度とは、入居者の所得に応じた月々の自己負担額の上限を超えた場合、払い戻しを受けられる制度です。ですが、介護保険の適用範囲内の自己負担額で計算されるため、賃料や食費、雑費といった実費精算分は対象外です。介護度が大きくなるにつれて必要な介護サービスが増え、結果として経済的な負担が重くなる家庭は多いです。そのため、自己負担額の上限を確認して補助を受けると安心です。
医療費控除について
医療費控除は、1月1日から12月31日までの間に支払った医療費が一定額を超えた場合、所得控除が受けられる制度です。例えば病院受診のために公共交通機関を利用した場合も控除の対象になります。医療費控除を受けるには確定申告が必要なので、領収書などは保管が必要です。ですが、高額介護サービス費の払い戻しを受けた金額は、医療費控除の対象にならない点は注意してください。
おむつ券サービス
自治体独自の制度で、おむつ代の現金支給や現物支給などがあります。現物支給の場合、購入時のレシートが必要なので忘れずに保管が大切です。地域により名称が紙おむつ給付や高齢者紙おむつ支給制度など違いがあります。申込先である役所や地域包括支援センターでご確認ください。
生活保護について
生活保護を受けている方は、介護サービスの自己負担はありませんので、安心してケアを受けられます。しかし、全てが無料ではありません。介護保険が適応されないサービスは自己負担であり、グループホームの賃料も住宅扶助の基準額以内か確認が必要です。また、生活保護や低所得世帯の方は、国から家賃助成制度を受けられます。
グループホームと他の老人ホーム施設サービスとの違い
有料老人ホームや特別養護老人ホームなどでは、調理、洗濯、清掃といった生活全般における支援は、基本的に職員や専門のスタッフが行うことが多いです。また、看護師が配置されているため、介護士に認められていない医療的な対応も可能となるケースがあります。
一方グループホームは、入居者同士が協力して食事の準備・掃除・交流などを行っており、自立支援のサポートに重きを置いています。高齢者自身で物事を考えつつ、自宅の日常生活に、より近い環境で生活できるため、普段の生活が認知症の進行を遅らせる効果が期待できます。また、少人数で手厚い人員配置となっているため、入居者個々のペースに合わせて対応しやすい環境となっています。しかし、医療的なケアに対応することは難しく、提携医と連携してできる範囲の対応が基本となります。
グループホームで必要な費用についてしっかりと説明を受けましょう
今回の記事では、主にグループホームの費用面を解説しました。施設によって入居の初期費用の納め方・月額費用の内訳の差が難解に思うかもしれません。しかし、不明な点に対し丁寧な説明や誠実さがあるか否かで施設を見極める手段にもなります。また、毎月の固定費用もネックになりがちですが、自宅からの持ち込みや制度を利用するとコストを抑えられます。自宅に近い環境で介護士が常駐しているグループホームは特別な安心感があり、少人数制なのできめ細やかな対応が期待できます。グループホームは少人数なので、職員や顔なじみ同士で会話がしやすいため、社交的な高齢者には最適な施設になるでしょう。
この記事の監修者
増田 高茂(社会保険労務士/介護支援専門員/介護福祉士/第二種衛生管理者)2004年に株式会社アクタガワに入社。派遣事業の営業を経て、介護現場に。介護福祉士・介護支援専門員の資格を取得し、多くの介護事業所の管理者を歴任。介護保険改正に際しては制度化されたばかりの、小規模多機能型居宅介護、夜間対応型訪問介護などの立ち上げにも携わる。その後、介護付き有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅の施設長も務める傍ら、社会保険労務士の資格を取得。介護保険分野を含めた社会保険全般に専門知識を活かし、現在は、介護保険サービスの品質とコンプライアンスの管理部門の責任者業務に就いている。