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小鹿公園前小規模多機能 「K様の在宅復帰ストーリー」
いつまでも住み慣れた地域で暮らしたい、そんな思いをサポートするため、アクタガワの小規模多機能型サービスでは「生活リハビリ」を実施しています。「生きがい」を追求し、生活の質の向上を目指す小規模多機能における生活リハビリのハートフルホーム小鹿公園前での実践の様子をご紹介いたします。
目次
「自宅に帰りたい」K様の願い
K様/70代/男性/要介護4
2023年3月、尿路感染症で市内の病院に入院し、バルーンカテーテルが留置された状態で在宅復帰を目的として小鹿小規模の利用が始まりました。入院中にコロナウィルスに感染してしまい、身体機能が低下して歩くことが困難になっていたため、利用開始当初はベッド上で過ごすことが多く、移動は車椅子を使用しなくてはなりませんでした。また、体調もしっかりと回復していたわけではなく、度々の通院や食事摂取も進まない状況が続き、生活リハビリを積極的に行えるだけの意欲や状態ではありませんでした。
その他既往歴:変形性脊椎症、腰部脊柱管狭窄症、狭心症など。
生活歴:製造会社や木工会社などで60歳まで就業。趣味は釣り、日本地図を見ること。
3月:利用開始「リハビリ困難期」
【2023年3月当時の身体機能(作業療法士による評価)】
・移乗や起き上がり:見守りにて可能
・立位保持:支持物を使用して20~30秒程度、見守りにて可能
・移動:車椅子全介助
・歩行能力:軽介助で連続して30~40m程度で、歩いた後に血圧や脈が上昇してしまい、強い疲労感により実用性が低い状態。
・階段昇降:実施できない状態
作業療法士より「当時は体調不良や疲労感から「もうやらない、今日はやめる」と消極的な発言が多く続き、リハビリ以前にベッドから起きて過ごすことも大変でした」
介護職員より「夜間もナースコールが頻回で、日中も他のお客様と交流することが難しい状態でした」
拠点長より「ご家族からは特別養護老人ホームを検討する声も上がっていました。自宅に帰るためには2階まで階段の昇り降りができる筋力を取り戻す必要があり、このままでは自宅復帰が厳しいのだということをご本人やご家族にお伝えしていかなければなりませんでした」
4月:転機「気持ちの転換期」
4月1日に腹痛から救急搬送し腸炎にて入院。4月7日に退院し、再び小鹿小規模の宿泊サービスを利用することになりました。退院後からご本人の表情が良くなり、食事量も上がり、リハビリの受け入れもスムーズになって歩行練習へとステップを踏めるようになったのです。ご本人の調子が上向きになったことで、介護職員との交流が進み、少しずつ打ち解けていきました。
更には救急搬送を期に大腸の検査等で通院を行うようになり、5月よりポリープ切除、腸炎の治療を開始しました。体の中が整っていくことで、食欲も戻り、血圧も安定し、本格的に在宅復帰に向けた生活リハビリができる状態になりました。
回復へのポイント
腸は『第二の脳』と呼ばれるくらい重要な臓器です。腸の不調は体内環境の悪化を生むだけでなく、精神状態にも大きな影響を及ぼすことが証明されています。今回、K様の不調の根本治療が開始されたことが、体と心の調子の回復を大きく後押しし、その後の生活やリハビリ意欲に繋がりました。
5月:新たなスタート「運動量向上期」
目標:「自宅に帰って、以前のように自分の足で散歩に行きたい」
ご自宅に帰るためには階段昇降が必須です。まずは落ちてしまった体力や筋力を戻すためにも、日常的に移動の際は職員の見守りのもと歩いていただくようにしました。ご本人も積極的にフロアを歩いたりと意欲的に取り組んでいました。併せて、フロアで過ごすことにより他のお客様との交流ができるようになり、挨拶をする姿がよく見られました。
作業療法士とのリハビリでは、歩行量を増やすべく屋外歩行へ同行したり、階段昇降の動作を確認し、日々介護職員と行うプログラムに取り入れていきました。
ご本人様も意欲的に取り組まれたことで、ぐんぐんと身体機能が回復していき、5月末にはバルーンの抜去も叶いました。そして、嬉しいことに、ご本人様から「小規模が楽しい」とのお声があり、それを聞いたご家族は施設の検討を取りやめ、在宅復帰が叶った後も継続して通い続けたいと言って下さいました。
6月:在宅復帰へあと一歩「多職種による居宅訪問」
バルーンが抜去されたことにより、いよいよご自宅に帰る兆しがみえてきたK様。体力もついて、歩く動作も安定し、階段も安全に昇り降りが行えるようになりました。トイレ動作も問題なく実施出来るとなれば次はご自宅の環境です。ご自宅に帰るためには何が必要かを明確にするため、ケアマネジャー、福祉用具専門相談員、作業療法士とご本人様とでご自宅に訪問しました。段差の高さや数、寝室ではベッドなのか布団なのか、立ち上がりや起き上がりはどのように行うのか、動作が不安定な際の手すり設置等の検討を実際に一緒に確認しました。
そして、これらの情報を施設の介護職員と共有し、施設の中での生活でも「自宅を想定して気をつけるポイントはどこなのか」を意識してもらうようにしました。
6月末:「念願の自宅復帰!」
居宅訪問の後、日帰りでご自宅に帰ることから始めました。この頃のK様は、本当に表情も豊かで、ご自宅で過ごす際の様子を想像しながら行うリハビリでは、「早く家に帰りたい、やっとだよ」と在宅復帰を心待ちにしていました。
【2023年6月時点の身体機能(作業療法士による評価)】
・移乗や起き上がり:自立
・立位保持:支持物を使用せずに長時間の保持が可能、見守りも必要なく自立
・移動:杖や歩行器を使わずに一人で自立して歩くことができる。血圧や脈拍の上昇、疲労感も見られることはなくなりました。
・階段昇降:手すりを使用して安全に昇降可能になりました。
3ヶ月前との比較
2023年3月 | 2023年6月 | |
移乗や起き上がり | 見守り | 自立 |
立位保持 | 支持物を使用して30秒 | 支持物無しで長時間可能 |
移動 | 車椅子 | 独歩自立 |
階段昇降 | 不可 | 手すり使用にて自立 |
こうして6月末、K様は元気にご自宅に帰宅し、通いへの利用に移行することができました。今では入院以前のように、ご自宅の周囲を散歩されているそうです。小規模の利用を開始した当初の「自宅に帰って、以前のように自分の足で散歩に行きたい」という目標を見事に達成されたのです。
~そして楽しい小規模に通う日々~
小規模で行うレクリエーションでは数多くの場面で活躍し、ニコニコとした明るい笑顔で職員やお客様に挨拶をして下さいます。
夏祭り
敬老会
運動会
9月に行った運動会では、白組代表として選手宣誓を行い、日替わりで行う紅白対抗種目のほとんどで大活躍を見せて下さいました。
作業療法士と
定期的な作業療法士の身体状況の確認や日々のプログラムは継続して行っています。
お客様・ご家族のコメント
K様「家に帰れたのが本当に嬉しい。身体がすごく動くようになったよ。ここに来た時は全然動けなかったからなぁ。楽しくやらせてもらってるよ」
ご家族「これからも元気でいて欲しいので、もっとたくさん運動してもらってね」
K様のストーリーを動画でもご覧いただけます
作業療法士「介入当初は表情も辛そうで食事もとれていないことが心配でしたが、徐々に体調が戻られたときはここぞとばかりに声を掛けさせていただきました。コミュニケーションをとっていく中でリハビリだけでなく他のお客様へのご挨拶等、ご自身で動く姿が見られるようになった時はびっくりしましたが、今では私の方が元気をもらっています。今後もK様の元気な「おっはよ~!」を聞かせて下さいね」
ケアマネジャー「自宅復帰への一番の転機は尿道カテーテルが抜去されたことで、現実味が増しその後のトイレや生活リハビリにも積極的になってくれました。他のお客様との交流も、今ではご自分でお声がけして気にかけてくれているので、自宅復帰後も楽しく通ってくれているようで私たちも嬉しく思います」
拠点長「K様は小規模ならではの関わりが成功した例だと感じています。ご家族と協力しながら病院の治療で苦痛を軽減させることができ、その間も介護職員がご本人の気持ちや意見にしっかり向き合ってくれたことが大きかったと思います。今ではレクリエーションやイベントが楽しいとおっしゃっていただき、心地が良い場所になったことで、継続を選択してくれたことが嬉しいです」
アクタガワの生活リハビリ
アクタガワでは『生活リハビリ』を通して、お客様にいつまでも「自分らしい人生」を歩んでいただけるよう、県内に展開している全ての小規模多機能型居宅介護にリハビリ専門職が関わり、介護職員・看護職員とともにチーム一丸となって取り組んでいます。「〇〇に行きたい」「前のように△△が出来るようになりたい」というお客様の希望があれば、生活リハビリとして目標へ近づけるようサポートさせていただきます。一人でも多くの「笑顔」が増えることを願います。
小規模多機能の生活リハビリをもっとよく知りたい方はコチラの記事も併せてお読みいただければと思います。⇒『「生きがい」に繋げる 小規模多機能の生活リハビリ』
こちらの小規模多機能は
アクタガワ ハートフルホーム静岡小鹿公園前グループホーム(静岡市駿河区)